「悩み」を「ToDo」に置き換える

悩みの解決には、「決まった方法・手順」があるということがわかりました。

つまり、その「決まった手順」を踏むことによって、誰でも「悩み」を消すことができるのです。その悩みを消す手順は、次の4ステップです。

(1)悩みを書く

まず、自分の悩みを、できるだけ詳しく紙に書き出します。「上司との人間関係」「上司によく叱られて雰囲気が険悪」「仕事のミスが多い」と、箇条書きでよいので書き出します。とにかくできるだけ多く書くことです。詳しく書けば書くほど、悩みはより短期間で解決されます

次に、その箇条書きの項目で文章を作りましょう。文章化するコツは、人に相談するイメージです。

(例)「私は、上司(課長)との人間関係で悩んでいます。上司は、私のちょっとしたミスに過剰に反応します。そんなことで、いちいち怒らなくてもいいのに。1日1回は怒られています。気分もへこみます。正直、会社に行きたくありません。どうしたらいいでしょうか?」

こんなふうに自分で悩みを文章にまとめてみましょう。それを読むと、自分の状況や心理を、冷静に見られるようになります。アウトプットすることで、客観視が可能となり、自己洞察が深まるのです

悩んでいる多くの人は、「つらい」「苦しい」「たいへん」とネガティブな感情に支配され、思考停止してしまい、自分が何に悩んでいるのか、原因が見えなくなっています。そこで「悩みを書く」ことで、自己を客観視できるのです

(2)対処法を調べる

自分がどんなことで悩んでいるのか把握できたら、次は対処法を探します。本書では、昔から誰にもありがちな悩みを紹介しています(自分に当てはまる項目と、おすすめの関連書を紹介しています)。

本を読むときのポイントは、「ToDo」を3つ見つけることです。自分ができそうな「ToDo」を探すように読み、ノートや手帳にそれを書いてください。対処法を調べる場合、「まずはネットで調べる」という人が多いと思いますが、情報が薄くてダイジェスト的で、信頼性も不十分です。根拠もなく間違った情報もよく書かれています。必ず「本」を使ってください。

(3)やってみる

対処法がわかったら、とにかくそれをやってみることです。それを最低でも「1~2週間」は実行してください

「できません」「続けられません」という人は、「3つのToDo」の書き方が間違っています。前項で説明したように、簡単に実行できるように行動を細分化してハードルを下げて、「できそうなToDo」に書き換えて再チャレンジします。「やっている」「動いている」「行動している」など、脳科学的には何かをしていることが重要です

(4)評価する(フィードバック)

1~2週間が経ったら、「3つのToDo」がどこまでできたかを評価します。

評価の手順1 うまくいっていない理由を3つ書く
評価の手順2 うまくいっている点を3つ書く
評価の手順3 次のToDoを3つ書く

もちろん3つ以上書ける人は、たくさん書いてください。多ければ多いほどよいのですが、最低でも3つ書いてください。必ず「ネガティブ」を先に書き、「ポジティブ」は後に書きます。そうすると、書き終わった後の気分がポジティブになります。

次のToDoが翌週の目標になります。それを1週間かけてやってみて、1週間後にまた評価(フィードバック)を行います。これを繰り返します。2~3週間行うだけで、かなりの効果が現れてくるはずです。「悩み」をすべて「ToDo」に置き換える習慣を身につけましょう

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ80万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、30冊以上の著書がある。

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