株式レポート
8月31日 18時0分
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1ヶ月ぶりの水準に戻った米国株〜高値超えのハードル〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・昨日(8月30日)の米国株市場は約100ドルの反落となり、ダウ平均株価は13,000ドルまで下がってきた。8月3日発表の米雇用統計(7月分)の上振れで、ダウ平均は13,000ドルを超え高値をじりじりと切り上げていたが、先週からの調整で、ダウ平均株価は雇用統計発表以前の水準まで再び戻った格好である(グラフ参照)。


・9月に行われるECB理事会(9月6日)やFOMC(9月13日)への思惑が交錯する中で、薄商いの中で米国株は揺れ動いてきた(FRBの政策については、8月23日レポート参照)。こうした中で、8月14日レポートで、「米国株の値動きだけみると、市場は2010年の再来を予想している」との仮説を考えた。そして、2010年と2012年は異なる点があり、2010年に近い格好での米国株上昇には違和感がある、とお伝えした。

・2010年の経緯を振り返ると、(1)米経済減速に歯止めがかかり、(2)米FRBが金融緩和に踏み出し、年末にかけて米国株は上昇した。(2)について、14日レポートで「FOMCの議論が紛糾し、ハト派に近いバーナンキ議長のリーダーシップだけでは、追加金融緩和が実現しないシナリオが残る」ため2年前と状況がやや異なるとお伝えした。

・その後23日レポートでお伝えしたとおり、「新たな追加資産購入(QE3)の効果に、多くの参加者が期待した」と直近のFOMCで議論されるなど、FRBは追加金融緩和にかなり積極的である。もちろん発表される経済指標次第だが、9月12日FOMCでは追加量的緩和政策の可能性は高まっている。米国の金融政策だけを考えると、現在の状況は2010年と似ており、この点でやや期待できる。

・一方、14日レポートでも触れたが、2010年と異なる点として、(1)スペインなど重債務国の金利高止まり、(2)米国以外の経済停滞の長期化、という米国以外の要因が残っている。(1)欧州情勢については、7月末のECBドラギ総裁による「必要な措置は何でもやる」という発言が、実際の行動につながるかどうか次第である。これは、9月,10月どのタイミングで実現するかまだ予断を許さない。

・また、(2)米国以外の経済改善が滞っている点は、まだ変わっていない。このため米製造業の景況感の停滞が続いているが、これが改善に向かう兆候はまだはっきりみられていない(グラフ参照)。これらの点で、米国株が2010年の再来を演じ高値を越えるには、クリアが必要なハードルが残っている。


・このため、雇用統計の改善だけで株高は持続せず、8月後半になって米国株の上昇が止まったとみられる。市場の期待が強いFRBによる追加金融緩和が実現しても、残るハードルもクリアしないと、米国株が再び高値を越えるのは難しいのではないか。いずれは、これらのハードルを越えるだろうが、それまでにまだ一波乱あるかもしれない。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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