倒産危険度ランキング#26Photo:erhui1979/gettyimages

上場企業全体を対象とした倒産危険度ランキングに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で、甚大な打撃が避けられない13業種について、それぞれ業種別のランキングを作成した。特集『大失業時代の倒産危険度ランキング』(全29回)の#26では海運業界を取り上げる。11社が危険水域に入った。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

大手3社の20年3月期は減収
来期も大幅な業績悪化は不可避

 1929年の大恐慌以来とされる大不況に世界経済は直面している。それ故、モノを船で運ぶのが仕事の海運業界には極度の逆風が吹いている。

 自動車の生産や販売が減少したことで自動車船の輸送台数が落ち込むなど、世界各地で製品や原材料の荷動きが低迷している。

 昨年は、米国による中国の海運会社への制裁で、鉄鉱石や石炭、穀物などを運搬する外航不定期船の運賃が高騰。さらに原油価格下落による燃料安もあり、海運各社の業績を下支えした。

 しかし、米国の制裁は今年1月末に解除され、運賃市況は下落した。荷動きが鈍る中、今後の見通しは明るくない。

 海運業の倒産危険度の1位は明治海運となった。2020年3月期は、同社の想定為替レート1ドル=105円より円安に推移したこともあり、営業利益は前期比10.5%増の54億4400万円となった。

 しかし、連結子会社2社が保有する船舶それぞれ1隻について、将来の収益性の低下から減損損失として14億4900万円を計上した。船舶売却益10億4600万円を捻出したものの、純利益は同16.1%減の17億1900万円となり、倒産危険度を示すZスコアの足を引っ張った。

 業界自体が置かれている環境が厳しいことは、大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)全てが危険水域にあることからも分かる。