「今、マンションは『買い時』なのか?」

 こうした質問をよく受ける。価格的には今が底なのか。あるいは、これからもっと下がるのか――。マンション購入希望者なら、誰しもが気になるところだ。

 マンション開発は1つあたりのプロジェクト規模が大きいため、日本経済に与える影響が大きい。今回は、そんなマンション業界の半年先をよんでいきたい。 

“あの穴吹工務店”まで倒産!
マンションディベロッパーの苦境

 一昨年から昨年にかけて多くのマンションディベロッパーが倒産した。特に新興系のマンションディベロッパーを中心に厳しい経営環境が続いた。その中でも日本総合地所、モリモトなど大手と呼べるほどに成長した企業までもが、会社更生法を適用された。そして、昨年の11月には2007年の供給戸数1位、2008年3位だった強者デベロッパーである穴吹工務店が倒産した。

 穴吹工務店は地方都市や郊外地域に強く、ファミリー向けのオーソドックスな間取りや価格において、顧客から支持を受けていた。経営陣の内紛、資金繰り、銀行との融資の問題など、主たる会社更生法適用の理由はさだかではないが、“あの穴吹工務店までも、ついに!”と業界内外から驚きの声が聞こえた。

 私が責任者を務める船井総合研究所 Real Estate チームが日々更新している、住宅・不動産業界トピックスを中心に掲載しているブログにおいて、穴吹工務店会社更生法の申請について、記者発表の数時間前に掲載したところ、アクセスが殺到。そして、その影響について、数日間に分けて掲載したが、どれも反響が大きかった。 

ピーク時の36%にまで
落ち込んだマンション市場

 首都圏(1都3県)のマンション供給戸数は05年以降、減少し続けている。不動産経済研究所によると、06年が7.4万戸、07年が6.1万戸、08年が4.3万戸、そして昨年(09年)はついに3.6万戸(前年対比16.8%)にまで落ち込んだ。09年の数字は、後半若干持ち直しての数字であり、上期の数字は特に悪いものだった。最高値を記録した2000年9.5万戸の37%という実績だ。