男性乳腺外科医の弁護団男性乳腺外科医の弁護団、中央男性が主人弁護人の高野隆弁護士 Photo by Maki Fukuhara

2016年東京都足立区の民間病院で、当時、非常勤だった男性乳腺外科医が乳房の手術をした後、その女性患者から準強制わいせつ罪で訴えられた事件の控訴審判決(朝山芳史裁判長)は、一審判決を破棄した有罪判決、実刑2年(求刑3年)だった。その理由や背景を解説する。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

執行猶予のつかない実刑判決
控訴審から判決までの経過概要

 公訴事実の主旨は「男性外科医は、女性患者が手術後の診察を受けるものと誤信して抗拒不能(抵抗することが著しく困難)状態にあることを利用して、ベッド上に横たわる女性患者に対して、着衣をめくって左乳房を露出させた上、左乳首をなめるなど、わいせつな行為をした」だった(事件の詳細は記事『乳腺外科医の「わいせつ事件」で求刑、医療現場悩ます麻酔の幻覚』)。

 この事件は、前述の出来事が起こったとされる時刻が日中の15時前後と、通常の医療体制の時間帯で場所も人の出入りが多かった。このため、今後、どのように医療を提供していくかを含めて、全国の医療関係者の注目を集めている。被告人は、逮捕時から一貫して無罪を主張している。