『簡易生活のすすめ――明治にストレスフリーな最高の生き方があった!』の著者・山下泰平さん生み出したスペースに満足気に収まる山下泰平さん(写真提供:山下泰平)

 人づきあいや見栄・虚飾は一切なし。明治時代の「簡易生活」は究極のシンプルライフだ。その実態を描いた書籍『簡易生活のすすめ――明治にストレスフリーな最高の生き方があった!』の著者・山下泰平さんは、常々「正社員はつらそう」だと感じているという。その真意とは?

正社員はパフォーマンスを
発揮するのが難しい

 僕の本業は、とある組織のシステム管理です。雇用形態は、正社員ではなく、派遣社員。組織に所属してはいますが、そのなかにどっぷり浸かっているわけではないので、一歩引いた視点から働く環境を見ることができます。そのせいか、同僚として働く正社員たちに対して、少しだけ同情的な思いを抱いています。

 もっともつらそうだなと思うのが、職場がパフォーマンスを十分に発揮できる環境ではない点です。

 たとえば、毎日のように行なわれる会議。そのほとんどは、管理職がパッと決めて指示を出せば済むのに、わざわざ会議を開いて、さらに発言機会のない平社員まで出席させています。その結果、本来なら実務に当てることのできる時間を浪費させられてしまうのです。

 一方で、意思決定のプロセスが複雑で曖昧すぎるため、下された決断に納得できないまま働かなくてはならない人もいます。