女子高生自らがコロナ禍で深刻な打撃を受けている沖縄県恩納村は、なぜ手厚い子育て・教育支援ができるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

高校生1人「5万円」
小さな村の“太っ腹”な支援

 コロナ禍は、日本中の子育て世帯に打撃を与え続けている。進路選択の変更を余儀なくされそうな中学生や高校生も、少なくないはずだ。そんな中で、「高校生1人あたり5万円」という“太っ腹”な経済支援を独自に行っている自治体がある。

 その自治体の財政は堅実かつ健全だが、「有り余る予算の用途に困っている」というわけではない。スケールメリットを享受できる規模でもない。コロナ禍の打撃が少なかったわけではなく、甚大な影響を受けている自治体の1つだ。

 特別な余裕の源を、何か持っているというわけでもない。「そうはいっても、高校生は3人だけだから」というわけでもない。むしろ高校生を含めて、子どもは多い。0~14歳の人口比率は、若干減少気味ながら、ここ数年は約15%で推移している。全国では約12%である。

 この驚くべき“太っ腹”ぶりを見せている自治体は、沖縄県恩納村。沖縄本島中部の西側に位置する、人口約1万1千人の村だ。しかも、主要産業の1つは観光業である。海岸線に沿って、高級リゾートホテルから庶民的なゲストハウスまで多様な宿泊施設が立ち並ぶ恩納村では、就業者の7割以上が第三次産業で働いている。もちろん、コロナ禍の打撃は深刻だ。

 恩納村は、財政状況が厳しくなると予想される中で、約300人の高校生に対し、1人あたり5万円の給付を行っている。それだけではなく、就学前・小学校・中学校、そして大学などへの進学と、あらゆる場面で経済的支援を充実させている。

 なぜ、このような施策を実行できるのだろうか。