足もとで韓国側は、海兵隊の竹島上陸訓練を中止する動きを見せているが、予断を許さない状況が続いていることに、変わりはない。

 竹島問題はなぜこれほどこじれてしまったのか。日本政府は、17世紀半ばに日本による竹島の領有権が確立していたことを指摘している。アワビやアシカの捕獲などに利用されていた鬱陵島に渡るための停泊地、魚採地として使われていたという記録があるからだ。

 国際社会の見解も、それとほぼ連動している。戦後、サンフランシスコ平和条約が起草される過程において、日本に対して竹島の権利放棄を求めた韓国に対し、米国は「かつて竹島は朝鮮の領土として扱われたことはなく、また朝鮮によって領有権の主張がなされたとは見られない」と回答している。これらが、日本が竹島を「固有の領土」としている論拠の1つである。

 しかし、韓国側は日本の主張に真っ向から異を唱えている。大きな論拠となっているのは、1952年に「李承晩ライン」が設定されて以降、韓国が竹島の実効支配を進めてきたことだ。これは、当時の李承晩大統領が、国際法を無視して韓国の領海水域を一方的に決め、竹島をその中に組み入れたもの。日本側はこうした行為を「不法占拠」と捉えている。

今なぜ竹島に上陸なのか?
李明博大統領が一線を越えた理由

 こうして日韓の主張が平行線を辿るなか、戦後この島の領有権をめぐって数々のいざこざが起きてきたことは、周知の通り。ただ、専門家の話では、今回の韓国による強硬姿勢は、李明博政権が韓国国内で追いつめられていることによるという。

 日本総研の上席主任研究員・向山英彦氏は、こう分析する。

「李大統領は就任当初、減税と規制緩和によって韓国経済を活性化させ、雇用を創出すると国民に約束しました。しかし、実際にはそれができず、雇用は不安定なまま。非正規で賃金が高くない仕事が増えて、格差や貧困が問題になっています。その一方、規制緩和により財閥グループの懐だけが潤う状態になってしまった。国民が大統領の経済政策に失望しているため、政権維持や支持率回復の思惑から、外交上の一線を踏み外してしまったのでしょう」