山下泰平さん山下泰平さん(撮影/写真部・小山幸佑)

 明治の文化を調べて日々“遊んでいる”という作家の山下泰平さんが、数年前から注目しているのが明治時代の「簡易生活」。人づきあいや見栄・虚飾を一切やめるという究極のシンプルライフのことだ。その実態は『簡易生活のすすめ――明治にストレスフリーな最高の生き方があった!』いう一冊にもなっている。そんな山下さんが語る「諦め」について。

「諦める」ことで思考がシンプルになる

 人って、人生に何かを期待してしまうと思うんです。お金持ちになりたいとか、何かをなしとげたいとか。でも、生きることは「諦める」ことだと考えると、執着がなくなってシンプルに生きられるようになると感じています。

 僕の場合、人生で何度か「諦めた」と感じた瞬間があるのですが、初めては、小学校2~3年生の頃だったと思います。

 それまでは、なんだかんだと楽しく生きてきたのですが、あるとき1日1回はイヤな思いをするなと気付いてしまったんですよ。頭が痛いとか、喉がイガイガするとか。これが一生続くのかと。

 朝起きて、まず歯を磨いたり、顔を洗ったりという行為も、これから死ぬまで続けていかなければならないのかと思ったのもイヤでしたね(笑)。