河野太郎防衛相,小野寺五典元防衛相衆院安全保障委員会の閉会中審査で、自民党のミサイル防衛検討チームの座長を務める元防衛相、小野寺五典(右)の質問を聞く防衛相の河野太郎。日本の防衛政策が今、大きく揺れている Photo:JIJI

「非常事態に直面した現実を重大に受け止めるべきだ」――。健康不安説すら飛び交っていた北朝鮮の最高指導者、金正恩の肉声が伝えられた。7月26日、朝鮮中央通信は北朝鮮国内で新型コロナウイルスの感染者が出たことを初めて報じた。しかも感染者は韓国への脱北者で、北朝鮮西部の都市、開城に戻ったとされ、南北関係に影響を与える可能性も出ている。金は5月に開かれた朝鮮労働党中央軍事委員会で、米国の核の脅威に対処するため「核戦争抑止力」の強化を表明した。

 こうした中で7月14日に閣議報告された日本政府の防衛白書でも、北朝鮮を巡る脅威について多くのページが割かれた。

「北朝鮮の軍事動向は、わが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なう」

 北朝鮮のミサイル開発について防衛省幹部も「能力向上は止まっていない。低空をうねるように変則的な軌道で飛翔する弾道ミサイルを開発している」と分析する。