「パン屋ではおにぎりを売れ!」 考える技術が未来を変えるパン屋の魅力をずらして生み出した商品を売れば、新たな顧客を取り込めるのではないか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

「しっかり考えなさい」とよくいわれるが、「考える」方法を習ったことがある人は少ないのではないだろうか。ではどうやって考えたらよいのか。その重要な問いと向き合うのに格好の一冊が本書『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』だ。

『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』書影『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』 柿内尚文著 かんき出版 1540円(税込)

 著者の柿内尚文氏は、これまで50冊以上の本を10万部以上のベストセラーに育てあげてきた敏腕編集者だ。そう聞くと、クリエイティブなセンスの賜物ではないかと思うかもしれないが、著者は自分のことを平凡だと評価する。そんな著者がなぜベストセラーを連発できたのか。それは、自分なりに「考える技術」を身につけ、それを言語化してきたからにほかならない。

 本書では、その「考える技術」が惜しげもなく詳細に解説されている。タイトルの「パン屋ではおにぎりを売れ」という発想は、考える技術の1つである「ずらす法」によって生み出したものだ。「パン屋が本気でつくったおにぎり」のように、パン屋の魅力をずらして生み出した商品を売れば、新たな顧客を取り込めるのではないか。このような具体的な着眼点が用途別にふんだんに盛り込まれているのが、本書の最大の魅力といえる。

 まだ身につけている人が少ない「アイデアの出し方」をいち早く習得すれば、周囲から「企画力がある人」と一目置かれることだろう。さらには、より幸せな人生を送るためにとれる選択肢の幅を広げてくれることだろう。(池田友美)