豪シドニーPhoto:123RF

29年にわたる世界最長の景気拡大を続けてきた豪州経済。その拡大局面が終わりを告げそうだ。大規模な森林火災でダメージを受けていたところに、折からの新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞がダメ押しとなった。いったんは収まったかに見えた新型コロナの感染だが、6月中旬以降再び拡大に転じている。景気後退を示す2四半期連続マイナス成長の可能性が高まっている。

114四半期続いた景気拡大
本州の8割分が燃えた森林火災

 1991年半ば以降、豪州は2四半期連続でマイナス成長のテクニカル・リセッションに陥ることのない景気拡大局面が続いた。その記録は昨年10~12月までで114四半期連続となり、世界最長を更新してきた。

 しかし、昨年秋に南東部ニュー・サウス・ウェールズ州で発生した森林火災は、記録的熱波による歴史的な乾燥状態も相まってヴィクトリア州に延焼した。さらに、西オーストラリア州でも森林火災が発生する異常事態となった。

 さらに、その後も乾燥状態が続いたことで年明け以降も火災が続いた結果、延焼面積は19万平方キロメートル弱に及ぶなど日本の本州の8割強に達した。同国史上でも最悪の森林火災に発展した。

 昨年末に中国で発見された新型コロナウイルス。年明け以降に中国国内で感染が拡大した。中国政府が感染封じ込めに向けて都市封鎖措置に踏み切った結果、中国の1~3月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、前年同期比マイナス6.8%と四半期ベースで初めてのマイナスとなった。

 前期比ベースで見た成長率はマイナス10.0%に達しており、年率換算ベースではマイナス40%弱となる大幅マイナス成長となった。過去に経験したことのないほどに中国経済はつまずく事態に陥った。