バンクーバー冬季オリンピックが今週末の12日(日本時間では13日深夜)に開幕する。だが、巷でこの話題を聞くことはほとんどない。今ひとつ盛り上がりに欠けるのだ。

 華があり、かつメダル獲得が期待できる選手はしっかりいる。フィギュアスケートの浅田真央であり、モーグルの上村愛子だ。

 話題性のある選手もいる。スピードスケートには日本女子最多となる5大会連続出場の岡崎朋美(38)や15歳の新星・高木美帆がいる。ジャンプでは日本人最多の6度目の五輪に挑戦する葛西紀明(37)がいる。にもかかわらず注目度は低い。

 まあ大会が始まれば、多くの人が夜更かししてテレビの前で日本選手を応援することになるのだろうが、ひと昔前と比べるとオリンピックに対する期待感が薄れているような気がしてならない。大不況の今、自分のことで精一杯で、オリンピックに浮かれている場合ではないということなのだろうか。

世代交代がうまくいかず、
期待感薄い日本の冬季競技

 マスコミが懸命に盛り上げを図っているが、肝心の日本選手団に「メダルを大量に持ち帰る」という勢いが感じられないのも確かだ。

 12年前の長野五輪では、金5、銀1、銅4の10個ものメダルを獲った。金メダル数では世界6位である。自国開催で強化に励んだという側面もあるが、その前の94年リレハンメル大会も金1、銀2、銅2の5個のメダルを獲っている。冬季五輪では、そこそこ強豪国に名を連ねていたのだ。

 が、長野五輪後の02年ソルトレイクシティ五輪では銀1、銅1でメダル2個、06年トリノ五輪では、最後の最後で荒川静香が最高のパフォーマンスを見せて金メダルを獲得し、面目を保ったもののメダル1個に終わった。ジリ貧が続く流れから、冬季はあまり期待できないというイメージが人々に植えつけられたのかもしれない。

 今回もメダルがゼロということはないだろうが、「入賞(8位以内)はしたもののメダルには届かなかった」というシーンを見ることが多くなりそうだ。そう予想せざるを得ないのは各競技とも世代交代がうまく行われていないからだ。前述した岡崎、葛西だけでなく、ジャンプでは39歳の岡部孝信、モーグルでは五輪5度目の里谷多英(33)、スケルトンでは45歳の越和宏が代表になった。

 19歳の浅田、15歳の高木など若い選手もいないわけではないが、多くは20代後半から30代。ベテランを脅かす勢いのある若手が育ってきていないのだ(20歳前後の若い選手が多いのはフィギュア、スノーボード、ショートトラックぐらい)。