あえてゲームの話をする

 藤本准教授は「野球やサッカーのことは親子で気さくに会話をするのに、ゲームについては親自身が興味がないからと話題にものぼらない。ゲームにまつわる親子の不和は、こうしたコミュニケーション不足から起こることが多い」と指摘します。

 積極的にゲームを話題にしたり、親が子どもにゲームを教えてもらい、実際に体験してみるなど、ゲームは親子のコミュニケーションツールとして活用できます。すると子どもは親との信頼関係が強まったと実感し、自主的に時間をコントロールするなど、自律心が芽生えるようになります。

スゴい一言:「◯◯の後なら気がすむまでやっていいよ」

 子どもが約束を守らず、ゲームをやめないようなときには、怒りのあまりゲーム自体を禁止してしまうことがあります。

 ですが人間には、ダメと禁止されるとかえって興味が高まり、逆の行動に走りたくなるという心理現象があり、「カリギュラ効果」と呼ばれています。

 つまり、ゲームを禁止されるよりも、ゲームを毎日強制されたり、やり方にいちいち口出しをされるほうが、かえって興味をなくしてしまうこともあるのです。

 藤本准教授は「親は子どもがゲームをしている姿にばかり注意が向いてしまうが、子どもなりに忙しくがんばっている一日の中で、ひとつの息抜きの時間としてゲームを楽しんでいる。厳しく制限すると、かえってこっそりゲームをしようという行動につながりやすい。むしろ、『宿題や家の手伝いをきちんとやった後でなら、気がすむまでゲームで遊んでよい』といったルールにするほうが、自分でゲームとの付き合い方を工夫するような望ましい行動をうながすことができる」といっています。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)

参考文献

取材協力:東京大学大学院情報学環准教授、藤本徹氏
藤本徹「ゲーム学習の新たな展開」(「放送メディア研究(12)」 NHK 放送文化研究所、2015/2/27)
アラン・ガーシェンフェルド「ビデオゲームを教育に」(「日経サイエンス」2016 年 10 月号)
神谷加代「マインクラフトはゲームではなく、学びのプラットフォーム!」(Impress Watch, 2018/9/20)