伊藤忠商事,ファミリーマート,ファミマPhoto by Takeshi Shigeishi,123RF

伊藤忠商事がコンビニエンスストア大手のファミリーマートに実施しているTOB(株式公開買い付け)に対し、剛腕アクティビスト(物言う株主)が「待った」をかけた――。ファミマの株主であるオアシス・マネジメント(香港)のセス・フィッシャー最高投資責任者がダイヤモンド編集部の書面インタビューに応じ、8月24日に期限が迫った今回のTOBについて「伊藤忠だけに有利な条件だ」と猛然と噛み付いた。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

ファミマ株買い付け価格に問題
少数株主は「黙って見過ごすべきではない」

――伊藤忠商事が現在実施しているファミリーマートへのTOB(株式公開買い付け)の何が問題だとお考えか。

 TOBの価格だ。

――伊藤忠が設定した1株当たり2300円という買い付け価格が低すぎるのだとしたら、いくらなら妥当か。

 ファミマの特別委員会が指名した第三者評価機関のPwCによれば、DCF(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー)方式を用いた算定結果の中央値は2756円だ。

 公開買付説明書にも記載されているが、2300円という買い付け価格はDCF方式による算定結果のレンジ下限(2472円)も下回る。

 また、店舗展開やサプライチェーンの最適化、海外展開、デジタルトランスフォーメーションによる収益性の向上については、具体的なシナジー効果を見積もることが困難だとして今回のTOB価格には反映されていない。

 こうしたシナジーを含めたファミマの適正価値は、PwCによる評価額のレンジ上限3040円を大きく超える価格だと私は考えている。

――ファミマが特別配当を実施すべきだと主張しているが、そのロジックを説明してほしい。