現在放送中の「24時間テレビ43」のチャリティー用Tシャツ(チャリTシャツ)のデザインを担当した小松美羽氏。神獣など聖なる領域の世界観を表現する作品が注目され、著書『世界のなかで自分の役割を見つけること』も話題の現代アーティストだ。その小松氏が本日、国技館にてライブペイントとチャリティーオンラインオークションを開催する。本連載では、ライブペイントを控えた彼女のメッセージをお伝えする。

小松美羽、ニューノーマル時代の「自分の役割」

「自分の役割」を全うする

 幼い頃から今もなお、私の進むべき道を導いてくださる山犬様(と狛犬様)と、俯瞰的な見方で地球との向き合い方を教えてくださった、イスラエルとヨルダンの両川に住む白い鳩。

 私は、この肉体が生かされていることで多くの学びを得て、描くという役割を日々全うできている。

 この度、2020年の24時間テレビのチャリTシャツのデザインの依頼を受けてから、今一度、世界中の多くの人々の行動が制限をかけることになった、コロナ禍について考えることが多くなった。

 私事だが、本来なら24時間テレビ放送日の8月23日はインドネシアナショナルミュージアムでの個展に向けてジャカルタに滞在している所だった。

 きっと、春から夏にかけてはインドネシア個展に向けての作品の制作や打ち合わせなどで日本にいる時間も少なかっただろう。今現在は、展示自体が中止・延期となった…。

 世界中が未曾有の事態に見舞われる中で、今年、私が果たすべき役割は何なのだろうか。私が日々大切にしている「祈ること」「瞑想すること」が、改めて今まで関わってきた多くの人々との繋がりの奇跡を思い起こさせた。

 筆をとり、キャンバスに向かい、ただ、ただ、絵を家に籠って描く日々は未来に向かうための過去との向き合いであり、交流の中で受け取った多くの人々の純粋な魂の光を思い起こさせるものだった。

 人が生きる上で必要なもの「衣 食 住 薬」の、「薬」がアートであるならば私は未来に向けて、少しでも多くの魂を癒し守る薬となる絵を生み出す役割を全うできる日々に感謝をしていきたい。朝、当たり前のように太陽と再会し、月と出会うことができるこの日々に。

 目を閉じて、静かな空間の中で胡坐をかく。どんどんと深層の世界に落ちていく。すると、暗闇の中に松明が灯ったような光を見つけだしたなら、私はどこにでも飛んでいけるのだ。

 今は物理的に難しいことでも、瞑想の世界では地球の裏側にだって飛んでいくことは可能だ。そういった瞑想の日々と描く事を繰り返す中で、人々は大いなる力や自然から愛され続けてきたのだと気がつかされた。

 大いなる自然の前では生きとし生けるものは太刀打ちができない、しかし、生死を繰り返し種が守られ今に繋がっている。

 人は幾度となく多くの未曾有の危機に直面しながらも、多くの知恵で生き抜き、技術を得、進化し続けてきた。進化のアップデートの繰り返しの日々で、人は自然から愛されていたことも、愛を返すことも忘れてしまったのではないでしょうか。

 行き過ぎた過信のなかで、何者かになった気でいる人間たちの一人が私自身であって、今年はそんな自分の愚かさに改めて気がつくことができたのかもしれない。

 自分の愚かさに気がついたからこそ、ではどうやって純粋な光を求めていけるのかを思考するようになった。

 そんな日々の中でいただいた、24時間テレビでのチャリティーのお話し。お受けさせていただいてから、すぐにTシャツの絵の制作に入った。

 服は基本的には人々が着るものであるから、まず狛犬様を描き、どうか人々を守ってくださいと願いを込めて絵の具を落とした。その次に、1羽の白い鳩が国境や差別という概念を持たず、ただ純粋に太陽の下を飛び、未来に向かう希望と平和の象徴として描いた。最後に世界中の「祈る」という言葉を門にようにデザインし、完成した。

 さらに、私はもう一つ24時間テレビから大切な役割をいただいた。それは、放送本番で行われるチャリティーでのライブペイント。無観客での今年初めてのライブペイントだ。本番では今まで培ってきたこと、学んだことを思う存分にキャンバスに向けていきたい。

 そして、これからの未来に向かって、創造を止めないこと、当たり前の日々や愛に感謝し、実直に進んでいく。そうして生まれた絵たちが、他者や自然や全ての神聖な存在への恩返しとなっていくことを願う。

 今もこうして生かされ、いただいた役割の有り難さに気が付きながら、世界のなかで自分の役割を全うするために私はこれからも強く創造していく。