「平成最悪の水害」平成30年7月豪雨
被災地で共生アパートへの入居が開始

被災住宅を避難機能付き共生アパートに活用、岡山・倉敷の取り組み水害直後の「小規模多機能ホーム ぶどうの家」

 一昨年7月6日、西日本豪雨が岡山県を襲った。「平成最悪の水害」と言われ、同県で66人が亡くなった。最も被害が大きかったのは倉敷市真備町。小田川と高馬川などの堤防が8カ所も決壊、人口2万3000人の半数の世帯が水につかった。水かさは5m近くまで達し、死亡者51人の大惨事に。

 その真備町でこの6月から、被災住宅を2階建てに改修した「さつきアパート」への被災者たちの入居が始まった。

被災住宅を避難機能付き共生アパートに活用、岡山・倉敷の取り組みスロープを使って自宅に戻る中本さん夫妻 写真提供:三喜(以下同)

 中本昭彦さん(72)と妻のきぬよさん(71)は、アパートの2階で暮らす。昭彦さんは朝、妻が乗る車いすを押して自宅玄関を出る。目の前から続く30mもの長いスロープをゆっくり降りる。そして、車いすごとマイカーに乗せ、「小規模多機能ホーム・ぶどうの家」の介護施設までハンドルを握る。きぬよさんの帰宅時にもスロープを使う。

 きぬよさんは同ホームの利用者だ。同ホームは、介護保険の在宅サービス「小規模多機能型居宅介護」の事業所。「通い」と「訪問」「泊り」の3種類を利用者に合わせて臨機応変に提供できるサービスである。週に3回、きぬよさんは通う。ほかの外出時にもこのスロープを利用する。夫妻にとっては生活に欠かせない存在だ。