「僭越ですが」の“せんえつ”って?知らないと恥ずかしい、かしこまり系漢字表現7選結婚式の挨拶でよく耳にする表現だ(イラスト/桔川伸)

 ビジネスや祝いの場などでは、ふだん使わないかしこまった言葉を用いることがあります。それらは、漢字の意味をたどっていくと、なぜそのような言葉になったのか理解できるでしょう。今回は、そんな漢字うんちくを紹介します。

*   *   *

1.失念(しつねん)
~ 「念」には心中に深く思う意味がある

「念」の「今」の部分はふたを表します。「心」と合わせて、ふたをして中のものを閉じ込めるように、心中に深く思う意味があります。そのため、「失念」は心の奥深くで思っていたことをうっかり忘れるという意味であり、「本当は覚えていた」ということをふくませて伝えることができるのです。もともとは、奈良時代以前に中国から伝わった呉音を用いて「しちねん」と読んでいましたが、のちに唐の時代に伝わった漢音が広まり、「しつねん」となりました。