トランプ氏と習近平氏「米中新冷戦」と言われるが、実際に米中が衝突することはあるのか Photo:Pool/gettyimages

一触即発の米中対立に関する
強硬な意見と理性的な意見

 中米間の対立は経済面だけでなく、新型コロナウイルスの起源や文化交流の面にまで及んでおり、「新冷戦」という言葉もネット上でよく見かけるようになった。

 中国の公式メディアは連日のように、アメリカを批判する論評を発表している。こうして見ると、中米両国は本当に新冷戦に突入するのではないかと思ってしまうが、断定はできない。中国のネット上には中米対立について強硬なもの、理性的なものがある。

 中には勇ましいものもあるが、対立激化の回避を説くものもある。今回は、ネット上にある強硬な見方、理性的な見方を紹介し、今の中国共産党はそれらをどう見ているか、考えてみたい。

 強硬論を振りかざす論者は「中米両国が対立しても中国は巨大な市場があり、内需を拡大すれば大丈夫だ」「中米関係はもう修復不能」と考えがちだ。

 中国の左派系の論者も、現在の中米対立を毛沢東時代の帝国主義反対闘争に重ね合わせている感が強く、長期戦を戦う覚悟を説いている。

 たとえば、核戦略の専門家である楊承軍氏が7月29日に発表した文章は、「アメリカの常軌を逸した挑発を前にして、一歩も譲歩せず、真っ向から反撃する」と述べた。「反撃」について文章は、次のことを挙げている。

 (1)一切の幻想を捨て、断固闘争する。
 (2)全方位の反撃を行う。
 (3)思い切って戦い、勝利するという信念を打ち立てる。
 (4)台湾の解放という大事業を適時完成させる。
 (5)戦略的不動心を保ち、アメリカに踊らされない。
 (6)アメリカとしっかり結びついている同盟国に警告を与える。