米中韓と日本の関係Photo:PIXTA

経済分野では
米中の双方から必要とされる立場になること

 8月28日、安倍晋三首相が持病の悪化を理由に辞任を表明した。9月14日に自民党は投開票を行い、新しい総裁を選出する予定だ。米中の対立が先鋭化する中、わが国の政策運営の重要性は一段と高まっている。これまで、トランプ大統領の懐に飛び込んで、米国と良好な関係を維持してきた安倍首相が退陣するとなると、米中との関係をいかに運営するか、次期政権は長期の視点に立った政策を運営することが求められる。

 政権基盤の安定性と政策の継続性は経済に大きく影響する。7年8カ月の長期政権を実現した安倍政権は、課題はあるものの外交面などで重要な成果を残した。安倍首相は米トランプ大統領との信頼関係を築いた。その一方、安倍政権は中国に“是々非々”の姿勢で対応した。韓国に対して安倍政権は毅然と対応し、過去の政府間の最終合意に則った対応を冷静に求めた。そうした姿勢は国際世論からも“相応の評価”を得たといえるだろう。

 次期政権は、そうした姿勢を引き継ぎ、さらにそのスタンスを明確にすることが求められる。米中の対立が激しさを増すと考えられる中、安全保障面では米国との関係を維持しつつ、経済分野では米中の双方から必要とされ、“秋波を送られる立場”になることは望ましい。