三菱陥落#1Photo:REUTERS/AFLO

三菱商事の垣内威彦社長が6月、社員に向けて送ったメールを独自入手した。その中身からは、社員が経営に不信感を強めていることに対し、垣内社長が並々ならぬ危機感を抱いている様子がうかがい知れる。特集『三菱陥落』(全10回)の#1では、三菱グループのみならず日本を代表するエリート集団企業の内部で起きている異変に迫った。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

経営への「納得度」「信頼感」低下
メールに透ける垣内社長の危機感

「組織風土調査結果への対応として、すでに各グループ・部門で改善への取り組みを進めてもらっていますが、全社経営においても重要な経営課題と受け止めています」

 今年6月半ば、三菱商事の全社員にこのような“釈明”の文言で始まる社内メールが届いた。送り主は垣内威彦・三菱商事社長だ。

 垣内社長は一体何を「重要な経営課題」と受け止めているのか。その答えは「組織風土調査」の中身にある。

 三菱商事は2009年度以降、「組織の健康診断」の一環として社員向けアンケート調査を定期的に実施している。

 今回の調査を実施したのは昨年8月。この結果、「経営方針・戦略の納得度」「全社・グループ経営への信頼感」「変化に対応した効率的な組織運営」「生産性の向上」「新人事制度」の項目について、過去の調査と比べて社員の否定的意見が増加したのだという。

 このうち「経営への信頼感」は、いわば社長の支持率のようなものだ。社員が経営への信頼感を持ち得ない会社に、発展など望むべくもない。支持率が急降下したのであれば、民主国家なら“総辞職”もやむを得ない緊急事態だろう。

 メールの文面はさらに続く。