「日本的経営システム」は様々な側面で制度疲労を起こしている。この制度疲労を改革していくには、いまどのような経営革新を行ったらよいのか。今連載では、ヘイ・グループが、昨今の日本企業にとって最重要と考える四つのチャレンジについて、その課題の構造とアプローチについて説明したい。

 最初にヘイ・グループについて、簡単に紹介させていただく。ヘイ・グループは、1943年に米国フィラデルフィアで創業された人事・組織の問題に特化したコンサルティング会社である。現在は、世界48ヵ国、84ヵ所にオフィスを設け、顧客企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。

 日本においても30年以上の実績をもち、家電、自動車、製薬等のメーカー、総合商社、銀行等500社以上のクライアントに対して、コンサルティングサービスを提供している。ヘイ・グループが世界に先駆けて開発したコンピテンシー、職務分析などの手法はグローバルに幅広く活用されており、またリーダーシップ育成サービスについてもグローバルトップの実績を有している。

 このような立場にあるヘイ・グループには、日々、顧客企業から様々な人材・組織に関するご相談が寄せられる。中でも、もっとも重要性の高いと我々が認識しているのが、「グローバル化対応」、「次世代経営者育成」、「イノベーションの促進」、「国内構造改革」の四つのテーマである。今連載では、これらのテーマについて、ヘイ・グループが考える問題意識とその対処法について、事例紹介も含めながら解説をしていく。

 第1回目の今回は、各テーマについて連載の概要を説明したい。

グローバル化対応

 国内市場が飽和している現在、多くの企業においてグローバル化の推進が課題となっていること自体は、改めてここで述べるまでもないだろう。ところが、経営課題としての重要性認識が高いにもかかわらず、多くの日本企業は人事・組織面でのグローバル化対応に様々な問題を抱えている。