木下斉エリア・イノベーション・アライアンス代表理事インタビューPhoto by Jun.Takai/Photocompany

コロナ禍は地方経済にどんな影響を与えるのか。インバウンド観光客消滅という大打撃に苦しむ地方がある一方で、ピンチをチャンスに変えた地方の実例も多い。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#32では、アフターコロナに勝つ地方の条件を、エリア・イノベーション・アライアンスの木下斉代表理事に聞いた。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

リモートワーク副業活用で
伸びた地方企業も

――コロナ禍は地方経済にどのような影響を与えるでしょうか。

 意欲のある自治体や地方企業にとっては「ボーナスタイム」が来る可能性があります。リモートワークが普及し、都市部のオフィスに通勤したくないと地方に引っ越す人は、海外では金融コンサルティングなどの業種で増えています。日本でも、東京のIT技術者が静岡県熱海市に移住し、リモートを活用して働きながら、地元企業での副業にも従事する例がありました。地元ガス会社の例なのですが、ガス会社にとってはこれまで接したことのない技能と人脈を持つ人がウェブやアプリ開発のノウハウを提供してくれたことで、事業が大きく伸びました。地方に不足していた専門人材をこのような形で受け入れることが進めば、地方にとって大きなメリットになります。

 さすがに過疎地では難しいですが、外部の人の受け入れに抵抗感がなく、かつ住環境と交通のインフラがある程度整い、自然環境に恵まれた地方都市や、政令指定都市・県庁所在地などに隣接するエリアにはチャンスがある。

――インバウンド観光に依存していた地域は厳しくなりそうです。

 いちげん客を相手に、安かろう悪かろうで大量に集客していたところはそうですね。ただ、地元や近郊で顧客をつかんでいる事業者は、コロナ前と比べても客足が鈍っていないか、むしろ増えているところもあるのです。