経済学者、起業家、ニューヨークタイムズ紙など、多方面から絶賛を受ける人生のバイブル『DIE WITH ZERO』の邦訳版が9月29日に発売となる。人生をもっとも充実させるために、金と時間をどう使うべきか? タイトルにある「ゼロで死ね」の真意とは? さまざまな気づきを与えてくれる本書の邦訳版『DIE WITH ZERO ~人生が豊かになりすぎる究極のルール』から、その一部を抜粋して紹介する。

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金の価値は、20代後半から下がっていく

 赤ん坊、20代、老人という3点を横軸(年齢)として、金で買える人生経験を楽しむ能力を縦軸にグラフで表せば、真ん中が膨れあがったベル型の曲線が描かれることになる。仮に生涯を通じて毎年同じ金額(たとえば10万ドル)を自由に使えるとすれば、年齢によってその金から引き出せる喜びの大きさは変わるということだ。

 つまり、金の価値は年齢とともに変化する。しかも、かなり予測可能な範囲で。20代も後半に差し掛かると、健康はゆっくりと衰え始める。それに応じて、金から価値を引き出す能力もゆっくりと低下していく。

 そう考えると、どうすれば生きた金の使い方ができるかは自ずと見えてくる。経験を楽しむ能力が年齢によって変わってくるのなら、能力が高いときにたくさんの金を使うことは理にかなっている。同じ10万ドルを使うにしても、80代より50代のときのほうが価値を引き出せるのなら、80代に使うべき金の一部を50代に回すことが、人生を豊かにするための賢明な判断だと言える。

 同じ理由で、20代や30代、40代に多くの経験ができるように多めに金を使い、老後は支出を抑えるという方針を立てることもできる。このような視点を意識することで、年齢と共に変化する「金から価値を引き出す能力」を考慮した生涯の支出計画を作成できるようになる。

20代は「貯蓄をおさえて、支出を増やす」が最適

 また、経験から価値を引き出しやすい年代に多くの金を使おうとするなら、貯蓄に関する計画もそれに合わせて変更していかなければならない。

 現役時代を通じてずっと収入の20%を貯蓄するようなことはせず、20代前半は貯蓄せずに経験に投資することを優先させ、収入が増える20代後半から30代にかけては収入の20%を貯蓄し、40代ではこの比率をさらに上げていく、といった方法だ。そして最終的には貯蓄の比率を下げ、支出が収入を上回るようにする。

 もちろん、これは誰にでも当てはまるわけではない。たとえば、ウォーキングなどあまり金のかからない活動を好む人もいるし、特別な体力がなくても楽しめる活動だってたくさんある。どれだけ貯蓄すべきかも、収入が上がる割合や、住んでいる場所によっても変わる。人によって置かれている状況は千差万別なので、誰にでも当てはまる黄金のルールは存在しない。

 ただし原則は1つだ。経験から価値を引き出しやすい年代に、貯蓄をおさえて金を多めに使う。この原則に基づいて、支出と貯蓄のバランスを人生全体の視点で調整していくべきである。

(本原稿は、ビル・パーキンス著、児島修訳『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』からの抜粋です)