経済学者、起業家、ニューヨークタイムズ紙など、多方面から絶賛を受ける人生のバイブル『DIE WITH ZERO』の邦訳版が9月29日に発売となった。人生をもっとも充実させるために、金と時間をどう使うべきか? タイトルにある「ゼロで死ね」の真意とは? さまざまな気づきを与えてくれる本書の邦訳版『DIE WITH ZERO ~人生が豊かになりすぎる究極のルール』から、その一部を抜粋して紹介する。

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支出と貯蓄のバランスは年齢によって変えよう

 ファイナンスの専門家は、年齢やそのときの経済的な状況にかかわらず、給料の一定額(たとえば、「1割」や「2割」)を貯蓄することをすすめている。

 2割の場合を見てみよう。これは「50‐30‐20ルール」と呼ばれる一般的な家計管理のルールに基づいている。政界入りする前は破産を専門とする法学教授だった政治家エリザベス・ウォーレンは、家計を安定させるバランスの取れた金の使い方としてこの「50‐30‐20ルール」を提唱した。

 このルールによれば、収入の50%は生活費(家賃、食費、公共料金など)に、30%は人生を楽しむため(旅行、娯楽、外食など)に使い、残りの20%は貯蓄や借金の返済に当てる。

 特にルールを決めずに支出している人にとって、このルールは素晴らしい(かつシンプルな)方法に見えるだろう。実際、このルールは人気があり、多くの人が実践している。

 だが、家計の安定だけに留まらず、「人生を最大限に充実させる」という本書の目標を実現するには、収入と支出のバランスをより洗練させなければならない。

 私は、誰にとっても当てはまる収入と支出の比率はないと考えている。何より、貯蓄に回すべき割合は、20代、30代、40代、50代と年齢によって変えていくべきだ。最適なバランスは人によって異なるし、年齢や収入に応じても変化する。

 50‐30‐20ルールなどは、つまり支出と貯蓄の比率を一定にすることを提案している。たとえば、収入の20%を貯蓄する50‐30‐20ルールでは、その比率は80対20だ。生きるために必要な支出(50%)を差し引いたとき、自由に使える金と貯蓄の比率は30対20となる。

 このバランスを、人生を通して保つのは正しくない。若く、これから数年間で収入の増加が十分に見込めるとき、収入の20%も貯蓄するなんてバカげている。

 しばらくは右肩上がりの収入が手に入るなら、金を借りたってかまわない(現在の収入より多くを使う)。もちろん、それはクレジットカードの借金を際限なく増やしてもいいということではない。当然、そのような高金利のローンを抱えるのは避けるべきだ。適度な額を、責任を持てる範囲で借りなければならない。

 若くて今後も収入増が見込める状態で、何も考えずに収入の20%を貯蓄していたとしたら、思い出に残る経験に金を使うチャンスを逃していることになる。さらにいえば、将来、さらに豊かになるはずの自分のために、今の若い自分が稼いだ金を捧げていることにもなる。一生の視点でみれば、これは最適な金の使い方とは言えない。

(本原稿は、ビル・パーキンス著、児島修訳『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』からの抜粋です)