この手のものを、シリコンバレー用語では「分散型労働力」と呼ぶのだそうだ。

 この手というのは、猫の手を借りたい人と、猫の手になりたい人がインターネットでつながるしくみである。その代表的なサービスとして、アメリカで今注目を集めているのが「タスクラビット」だ。

 タスクラビットは、猫の手ならぬ「働き屋さんウサギ」とでもいう意味だが、2008年にサービスが始まって以来どんどん利用者を伸ばし、現在ではニューヨーク、ボストン、サンフランシスコ、シアトルなど全米9都市でサービスを展開している。

犬の散歩から家具の組み立てまで!
タスクラビットのしくみとは

 タスクラビットのしくみはこうだ。

 まず、手を借りたい人がそのタスク(用事)をタスクラビットのサイトに上げる。タスクの内容はいろいろだ。部屋を掃除してほしい、犬を散歩に連れて行ってほしい、車で送迎してほしい、食料品の買い物に行ってほしい、洗濯をしてほしい、引越の手伝いをしてほしい、といったよくある雑用が多い。

 だがそれ以外にも、パーティーの手伝いをしてほしいとか、調べものの手助けをしてほしい、イケアの家具を組み立ててほしい、スターバックスのコーヒーをテイクアウトしてきてほしい、6人分の健康なベジテリアン料理を買い物からやって作ってほしい、といった変わったものもある。来たるiPhone5の発売に合わせて、発売日にアップルストアで並んでほしい、というリクエストもここ数日見られるようになってきた。それぞれのタスクに、だいたいこの範囲の料金を払います、という値段が付記されている。

 こうしたタスクを見て、今度は登録しているタスクラビットたちが応募する。その際に、それぞれが「いくらでやります」という値段をつける。たとえば掃除のタスクならば、何部屋あって、掃除用具や洗剤類はそろっているとか、デリバリーのタスクならば、どの店からこのアパートまでといった詳細が記されているので、それにしたがって自分なりの値段を提示するわけだ。