ルース・ベイダー・ギンズバーグPhoto:SOPA Images/gettyimages

【ワシントン】故ルース・ベイダー・ギンズバーグ米最高裁判事の後任人事を巡り、足元では与野党の攻防が激しさを増している。だが有権者の多くは、最高裁判事の後任問題は大統領選の投票意向には影響しないか、検討事項の1つにすぎないと話している。

 ギンズバーグ判事の死去を受け、現職のドナルド・トランプ米大統領と民主党のジョー・バイデン候補は後任人事を巡り、真っ向から異なる見解を示している。トランプ氏は支持層に訴えるため、早期に承認手続きを済ませ、最高裁内の保守派勢力を固めると主張。バイデン氏は、トランプ氏らは承認手続きを不当に急いでおり、数百万人の米国民の医療保険が危機にさらされると主張している。

 大統領選の投票日まであと42日。トランプ氏は全国規模、および一部の激戦州の世論調査で、バイデン氏にリードを許している。トランプ氏の支持率は、弾劾裁判、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)、人種問題など、政権を揺るがすような事態に直面しながらも、1年を通じてほぼ安定推移している。背景には、有権者の政治的な見方が深く定着していることがありそうだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースがギンズバーグ判事の死去前に共同で行った直近の世論調査によると、まだ誰に投票するか決めていないとの回答は11%にとどまった。

 有権者への取材からは、最高裁判事の後任人事が足元では急浮上しているものの、こうした有権者のパターンに変化がないことがうかがわれる。有権者の多くはすでに誰に投票するか意思を固める一方で、態度を決めかねている数少ない有権者は、大半がまだ決定したくないと考えているようだ。