コロナで激変!#5Photo:JGalione/gettyimages

来春の入試は理系人気が高まり“文低理高”が鮮明になる可能性が高い。各大学による理系強化競争が「長らく固定されてきた“大学序列”を一変させる可能性さえある」と指摘される中、とりわけ「大阪」が最大の震源地になると目されているが、その理由とは?特集『コロナで激変!大学 序列・入試』(全14回)の#5では、長らく固定されてきた関西地区の大学序列の異変についてレポートする。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

「週刊ダイヤモンド」2020年8月8日・8月15日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「コロナ不況」で
理系人気に拍車が掛かる

 来春の大学受験では、“文低理高”がより鮮明になってくるだろう」――。新型コロナウイルスの感染拡大による大学入試への影響をそう分析するのは、東進ハイスクールを運営するナガセの島田研児・コンテンツ本部教務制作部部長だ。すでに昨年から理系志向が強まっており、それがさらに加速するだろうという見立てだ。

 島田氏だけではない。河合塾の我妻正敏・大宮校校舎長も同様の見解を示す。その上で、「好景気の時代は経済・経営学部を中心とする文系人気が高まり、逆に不景気に入ると理系が人気になるのがこれまでの常。なるべく専門性を身に付けられる学部を狙う受験生が増えるからで、コロナ不況の到来が叫ばれる中、今後も志願者が理系に流れるはず」と我妻氏。

 そして、予備校幹部たちが口をそろえて「理系の中でも注目株」とするのは理・工学部だ。次の図を見ても分かるように、近年の理系における理・工学部人気には目を見張るものがある。

 代々木ゼミナールの資料によれば、20年の私立大学における学部系統別志願者数(一般入試+大学入試センター試験)は、「法・政治」が前年比で10%減、「人文」が同6%減、「経済・経営・商」が同4%減と、文系学部が総崩れとなる一方、理系は「工」が同7%増、「理」と「農水産」が同3%増となった。この流れは止まらないというのは、大学受験関係者の共通見解だ。

 そして、大学受験が文低理高の時代に突入する中、“出口”である就職でも理系人気がにわかに高まっている。それはメーカーをはじめとする、理系人材が必要不可欠な業界だけではない。金融や総合商社、運輸といった“文系の牙城”でも近年、理系採用枠が拡大し、全学生の3割しかいない理系学生の争奪戦が起きているのだ。

 企業における理系重用の流れは、新卒採用のみならずトップ人事にも起き始めている。その最たる例は今年4月、三菱UFJフィナンシャル・グループの社長に就任した亀澤宏規氏だろう。メガバンク初の理系出身トップとなった亀澤氏は、東京大学大学院理学系修士課程を修了した華麗な経歴を持つ。また、総合商社では五大商社中、今や3社に理系出身社長が就いている。

 こうした出入り口双方の理系人気を受け、各大学では目下、理系学部の強化に躍起になっている。その中心はやはり理・工学部。そして、そこから分離する形で新領域の理系学部新設も相次ぐ。“情報系”学部だ。その背景にあるのは、AI(人工知能)やデータサイエンスへの世間の関心の高まりだ。

 そして、そんな各大学の理系強化の競争が「長らく固定されてきた“大学序列”を一変させる可能性さえある」と、ある予備校幹部は指摘する。とりわけ「大きな地殻変動が予想されるエリア」(同幹部)が関西だ。