豊富な選択肢の中から
最適な施設を選ぶには?

 自分や家族に介護が必要になったとき、自宅以外の施設での介護を選ぶ人は少なくない。高齢者向けの施設は複雑で多岐にわたる。入居要件はそれぞれ異なり、月額費用はおおよそ5万~35万円、入居金はゼロ~数千万円と、かなりの開きがある。

 特別養護老人ホーム(特養)など「介護保険施設」に分類される3つの施設とケアハウスは公的施設で、比較的低コストで入居できる。一方、身体状態や資産、家族の状況が考慮されるため、誰でも入居できるわけではない。特養は入居まで数年待つこともザラだ。

 認知症なら、グループホームといった専門施設も選択肢に入る。こうした施設はケアマネジャーや医療機関、役所の窓口などと相談しながら入居を決めることになり選択肢は少ない。

 施設として選択肢が豊富なのが、全国で6000カ所以上ある有料老人ホームだ。そして次が2011年に新設されたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)だろう。あまたある高齢者住宅や介護施設から、ベストな選択をするにはどうすればいいのだろうか。

入居の目的、予算を決めてから
情報を集める

 ベストな選択をするための第一歩は入居の目的を明確にすることだ。誰が、いつ、どこで、どういう状態で、どれくらいの期間、どのような老後を過ごしたいのか、はっきりさせる必要がある。

 終の棲家と、家族が海外赴任している期間や特養に入居するまでの一時的な住まいでは選び方も違ってくる。また、すでに要介護状態になっているのと、「健康だが1人では不安」という人では、行動範囲や必要な介助も異なる。

 ここではあなたが「なんとか歩行と生活はできるが介護が必要」という状態で独り暮ししている親を入居させるという前提で話を進めよう。