2020年1月、最後の大学入試センター試験が行われた。21年から実施される大学入学共通テストを忌避する感情が受験生に強かったのか、現役合格のため、安全第一の志願校選びが広がっていた感もある。今回の「国公立100大学合格力」全国ランキングの上位はどのように変化したのか見てみよう。(ダイヤモンド社教育情報)

ベスト10に現れた異変

 まずは、「国公立100大学合格力」全国ランキングを見てみよう。2020年のランキングはかなり激しく上下動があった。前回2019年のランキングと比べると、その変化の様子を感じ取れると思う。

 ベスト10に公立高校が4校と前回より倍増した。リーマンショック後に中学受験生が減少した時期の受験生だけに、公立志向が強まっていたこともある。

 5位(前回順位10位)堀川、6位(同17位)天王寺、7位(同92位)札幌北、10位姫路西(同34位)なのだが、詳しくは公立校ランキングを解説するときに譲りたい。

 さて、今回最大の注目は、1位に入った東京の国立の高校である。一般に、国立大学の付属校は教育学部の研究のためにあることが多く、優先的にその大学に入れるというわけではない。例外的に、東京工業大学附属科学技術高等学校から、年によって人数は異なるが、推薦による入学者がいるくらいで、この点が私立大学の付属校と大きく異なる。

 それでも例外はある。今回1位となった東京藝術大学音楽学部附属音楽高校は、作曲、ピアノ、弦楽器、打楽器、邦楽の5つの専攻を合わせた募集人員はわずかに40人。全校120人程度の極小規模校である。卒業生の9割は音楽学部のいずれかの専攻に進む。東京藝大の難度が年々上昇しての結果だが、STEAM教育の時代に、芸術系の大学は大切な役割を果たすことになるから、今後も難関校であり続けることだろう。

 同校の2021年の入学試験音楽実技課題曲はすでに発表されている。ピアノ専攻の場合、バッハの15のシンフォニア、リスト、ベートーヴェンのピアノソナタが課されており、ピアノの実力が相当高くないことには入学はおぼつかないだろう。

 では、学力一本の入試では他にどのような学校があるのか。実質1位といっていい2位(同6位)灘、3位(同2位)東大寺学園、8位(同3位)甲陽学院は、いずれも関西のベスト10常連の男子校である。9位にも兵庫の共学校である白陵(同12位)が入った。

 注目は、前回の62位から4位に大躍進した札幌市にある北嶺だろう。寮制男子校で、医学部志望者が多く、面倒見のいい学校として名をはせている。