新宿西口日本経済の現状から先行きまでのすべてを、新型コロナで説明してしまう傾向が強すぎないだろうか。「通説」を冷静に検証しよう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 新型コロナウイルス感染の広がりは、世界の経済活動を停滞させ、今年前半の世界経済は大きな収縮を経験することになった。世界や日本の経済に与えた衝撃は、リーマンショック以上であり、100年に一度の出来事といっても過言ではない。

 しかし筆者は、日本経済の現状から先行きまでのすべてを、新型コロナで説明してしまう傾向が強すぎないかと考えている。現在こそ、ムードに流されない冷静な観察が必要だ。以下では、景気とコロナとの関係でよく言われている「6つの通説」を検証する。

【通説1】
新型コロナで
日本の景気は後退した

 政府が2018年10月を景気の山と認定したことからも分かるように、日本経済は新型コロナの問題が起こる前から、中国をはじめとする世界経済の減速に米中貿易戦争の影響が加わり、後退に転じていた。

 そこに、新型コロナのパンデミックというショックが加わり、世界経済は一気に悪化した。つまりコロナショックは、すでに始まっていた景気後退に追い打ちをかけたが、景気後退をもたらした張本人ではない。

 また、今年4~6月期の実質経済成長率は、前期比-7.9%と大幅なマイナス成長となったが、これを前期比年率-28.1%と言ってしまうと、日本経済の厳しさを過大に評価することになる。前期比年率とは、4~6月期の急落が1年間続くと想定した数字だが、この想定は現実的ではない。新型コロナのショックは大きかったが、日本のGDPが3割近くも縮小してしまったわけではない。