実際、月桂冠総合研究所が成人女性18人にこの2つの香りを嗅いでもらい、感情変化を調べたところ、不安や敵意、緊張感、ストレスなどが有意に下がった(https://www.gekkeikan.co.jp/company/news/detail/135/)。

 光に反応して瞳孔は収縮するが、リラックスするほど縮瞳率(元の瞳孔の口径から瞳孔が縮んだ時の口径を引いた差と元の口径との比率)が大きくなる。

 縮瞳率も吟醸香を嗅ぐと有意に大きくなった。また酢酸イソアミルの香りを嗅いだだけで皮膚の温度が上昇し、リラックスしていることがわかった。

 アルコールに弱い人はお酒のにおいを嗅いだだけで酔っぱらうといわれるが、アルコールではなく香気成分に酔っているのかもしれない。

 カプロン酸エチルと酢酸イソアミルは日本酒だけでなく、ワインにも含まれている香気成分だ。では、日本酒に特有の心や体に良い効果のある物質はというと、これも見つかっている。

 脳にはGABA受容体があり、GABA(チョコレートや発芽玄米に含まれるアミノ酸の一種)を受け取るとリラックスする。

 アルコールもGABA受容体を活性化させてリラックスさせるが、独立法人酒類総合研究所によれば、日本酒に含まれる有機酸類(日本酒の酸味成分)のうち、グルコン酸など13種類がGABAを活性化させることがわかった。グルコン酸をマウスに与えると高所を怖がらなくなるなどリラックス効果が見られたそうだ(https://www.nrib.go.jp/data/nrtpdf/2012_1.pdf)。