上海政府主導で景気回復が続いている中国だが、そのペースは夏場までの急回復から鈍化する見込みだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

政府主導の景気回復
インフラ投資は持ち直し

 コロナ禍を経て、世界に先駆け経済活動を再開した中国では、政府主導で景気回復が続いている。民間需要の回復には遅れがみられるものの、政府が投資促進策や消費刺激策を講じたことに加え、海外の経済活動再開などに伴い輸出が増加に転じたことが、中国景気の回復を後押ししている。

 中国政府は景気てこ入れのため、2月にインフラ投資計画の前倒しを要請した。また、特別地方債の発行枠を昨年の2.15兆元から今年の3.75兆元へと1.6兆元拡大し、5Gや新エネルギー関連投資の財源も確保した。そのうえで、産業補助金も拡大した結果、全上場企業4019社への補助金総額は、今年上半期に前年同期比+19.2%と、過去5年の年平均増加率(+13.7%)から加速した。

 これらにより、前年同期より3割低い水準へ落ち込んでいたインフラ投資は、1~8月累計で前年並みの水準に持ち直した(図表1参照)。さらに一部の業種では、固定資産投資の急拡大がみられる。鉄鋼業、情報通信業、電力・ガス・水道の固定資産投資は、前年同期比+23.5%、+19.0%、+18.4%にそれぞれ達している。なお、この3業種への補助金は、今年上半期に前年同期比+54.3%、+27.1%、+29.6%をそれぞれ記録した。