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FRBに後押しされた日銀〜円安期待は高まるか〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

9月19日 18時0分
マネックス証券
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・本日(9月19日)、日本銀行は追加の金融緩和を決定した。資産買入基金の規模を従来から+10兆円(長期国債5兆円など)上乗せし、2013年末まで資産買入れ(金融緩和)を続ける決定である。先週のメディアの報道などを踏まえて、「日銀は景気下振れリスクや緩和の是非についてもう少し時間をかけて判断するため、今週追加金融緩和は見送られる」と筆者は予想していた。

・ただ、本日の日経新聞で、金融緩和の観測記事が報じられたように、日銀の判断は先週末を挟んで大きく変わったとみられる。先週、米FRBは、無期限で資産購入を続けるメッセージを伴う、強力な金融緩和(QE3)に踏み出した(9月14日レポート)。先進各国が相次ぎ金融緩和を行う中で、今回金融緩和を見送るリスクが高くなったと日銀は判断したと思われる。本日の決定をうけて、為替市場では円安が進み、日本株も上昇している(グラフ参照)。


・日銀は通常、経済指標などから景気やインフレ見通しを想定し金融政策の判断を行う。足元で日本の景気指標が下振れているが決め手に欠く状況で、先週のFRBによるQE3決断が、従来の行動パターンより前倒しで金融緩和に踏み出すことを後押しした。日銀だけ金融緩和に躊躇することが、円高をもたらすリスクに配慮した対応には、一定の評価ができるだろう。

・ECB、FRBに追随した日銀の行動で、各国で金融緩和が出揃ったことになる。2010年後半に米FRBがQE2に踏み出した時にも、FRBの金融緩和観測が強まる中で日銀が「包括金融緩和」を余儀なくされた。米日の金融緩和が出揃う中で、世界の金融市場は落ち着き、米国の景気持ち直しを背景に、株式などリスク資産が買われる展開になった(グラフ参照)。


・2012年は、世界経済の足を引っ張っていた欧州でも、ECBによる無制限の国債購入という金融緩和がようやく表明された。そして米FRBがより強力なQE3に踏み出しており、2010年後半同様の展開に期待できるようになっている(9月10日14日レポート)。本日、通常よりやや早めに金融緩和を強めた日銀は、この流れを遮らない程度に貢献したということになる。

・なお、2012年2月に日銀が「サプライズ金融緩和」に踏み切った時には、為替市場では、米日金利差が動かない中で、為替市場で円安が進んだ(グラフ参照)。当時は、日銀がそれまで頑なに拒んでいた「物価目標」を突然導入し(FRBに追随した)、日銀の金融政策の方針が大きく変わったという認識が広がったためだった(2月15日レポート)。


・今回の日銀の金融緩和のメニューだけをみると、これが当時のような円安をもたらす要因になる可能性は低いだろう。従来の枠組みを変えず、資産買入規模拡大と期間延長だけでは、早期脱デフレ実現に対する市場の期待を高めるには不十分である。

・先週、無期限に資産買入れを増やし続ける方針に踏みだした米FRBに、日銀は再び差をつけられた。今後の政策決定会合において、(1)普通の国と同程度の+2%以上の物価目標設定、(2)期間内に目標実現のために緩和強化を続ける方針の表明、に期待したい。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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