「とても敏感な人」が鈍感な世の中で強く生き抜くヒントとはHSPがまわりとうまく付き合うには、自分の限界を知り、辛いときは相手にきっぱり伝えられるようになることが効果的だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

 あなたは性格診断テストで「内向性」の数値が高いことにがっかりした経験があるだろうか。要約者は、就職試験や人事評価の一環として受けたテストに「内向性/外向性」の項目があった場合、なんとなく「外向性」の数値が高いほうがいいような気がしていた。正直に言えば、内向的だと見られることに少々劣等感を抱いていたのだ。

『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』書影『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』  イルセ・サン著、枇谷玲子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン刊 1500円+税

 最初に断っておくと、本書『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』のテーマであるHSPは「とても敏感な人」のことで、厳密には「内向的」と同一ではない。HSPの人のなかには社交的な人もいるし、細かな気質は人それぞれなのだという。私自身もHSPの特徴に大いに思い当たる節がある一方で、自分には「繊細さ」とはほど遠い図太い一面があることも知っている。

 大事なことは、自分を知ること。そして、敏感で繊細な自分をありのまま受け入れることだ。本書を読んで、HSPの特徴は人の役に立つし、自分の人生を彩ってもくれるということがわかった。外向的に見られたほうが高く評価されそうだからと、本来の自分とは正反対の自分を演じてくたくたになる必要はない。

 本書は、HSPが自分をよく理解し、その気質を生かすためのヒントが学べると同時に、HSPではない人がHSPの人を理解する助けともなる。自分のパートナーがHSPかもしれないし、子どもや同僚、部下がHSPかもしれない。自分を知り、相手を知れば、きっと世のなかはもっとうまくいくだろう。HSPの人には、本書をとっかかりにして「とても敏感」であることに自信と誇りを持ってもらいたい。(金井美穂)