名医やトップドクターと呼ばれる医師、ゴッドハンド(神の手)を持つといわれる医師、患者から厚い信頼を寄せられる医師、その道を究めようとする医師を取材し、仕事ぶりや仕事哲学などを伝える。今回は第32回。薬学部の修士課程から、医学部に学士編入し、医師になった経歴があり、内科入院患者の1割が「薬の副作用」という事実を研究報告するなど薬害や副作用の問題に精力的に取り組む国立病院機構栃木医療センターの内科医、駒ヶ嶺順平医師を紹介する。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

「本当にDU?」
論争を自主検証

駒ヶ嶺順平(こまがみね・じゅんぺい)医師/国立病院機構栃木医療センター内科医。専門は、総合内科、救急駒ヶ嶺順平(こまがみね・じゅんぺい)医師/国立病院機構栃木医療センター内科医。専門は、総合内科、救急 Photo by Hiromi Kihara

「『誰(専門医ないし権威)が言っているか』ではなく『その人が言っている内容の根拠となる研究は何か?』を自分は大切にしている」――そう語るのは国立病院機構栃木医療センターの内科医、駒ヶ嶺順平医師だ。

 日本人は権威に弱いところがあり、然るべき機関や専門家、有名人の発言だと、ろくな検証も吟味もせず、無批判に受け入れる傾向がある。去る8月、「うがい薬で唾液中のコロナウイルス減少」と公言した大阪府の吉村知事などはその最たるものだろう。

 駒ヶ嶺医師は、そうした医療界にもありがちな傾向に対して、地道な研究で真贋を確かめ、声を上げる。医師歴が12年と短く知名度も低いため、声が届く範囲は狭いが、冷静で論理的な発言には現場を変える力がある。