回復のペースが加速する
中国の自動車市場

 冒頭で述べたように、コロナ禍からの回復のペースが最も速いのが中国だ。それに次いで米国でも自動車販売が持ち直し、わが国経済にも徐々に復調の兆しが見えてきた。他方、アジア新興国地域では、自動車産業の集積が進んだタイの生産回復に時間がかかっている。それに対して、欧州の販売状況はかなり厳しい。

 4月から9月まで6カ月連続で、中国の新車販売台数は前年同月の実績を上回った。それに加えて、4月以降、月を経るごとに自動車の販売台数が増えている。中国では、公共事業などの景気刺激策が消費を支え、経済全体に回復の動きが広がりつつあるイメージだ。中国の自動車需要が回復した結果、上位車種を中心に日米の自動車メーカーの販売台数が増えた。9月、中国市場におけるトヨタ自動車の新車販売台数は同25%増となり、単月ベースで過去最高だった。特に、レクサスブランドの人気が高いようだ。近年、米中対立の影響などから苦戦していた米GMも、キャデラックを中心に7~9月期の販売が上向いた。それだけ中国経済の回復の足取りはしっかりしつつある。

 中国の次に自動車の販売が堅調なのは米国だ。9月、日系メーカーの新車販売台数は前年同月の実績を上回った。また、中古車の需要も大きく伸びている。9月の米消費者物価指数を品目別にみると、価格指数は新車が前月比0.3%、中古車は同6.7%上昇した。

 わが国の自動車販売は、前年の実績を下回ってはいるものの、5月を底に少しずつ増えている。米国同様に、わが国でも中古車への需要が高まっている。その背景には、感染拡大による生産停滞から新車の納車期間が長期化した影響がある。また、コロナショックの影響によって“3密”を避けるため、自動車での通勤などを重視する人も増えた。欧州でも徐々に自動車販売に復調の兆しが見られるが、EU経済の支えというべきドイツを中心に、新型コロナウイルスの感染は依然として深刻だ。わが国以上に欧州の自動車市場の状況は厳しい。