A課長「テレワークを推進するために、なんでも意見を聞かせてください」
Bさん「やっぱり印鑑ですね。管理職がいちいち出社しなくてはいけないのは問題です」
Cさん「もっとネットワーク回線を強化しないと、仕事にならないと思います」
Dさん「私は大きな不自由を感じていません。みなさんそんなに困っているのですか?」
Eさん「印鑑は、電子承認にすればいいだけですよね?」
Bさん「テレワークがうまくいっている会社をベンチマークする必要がありますよね」
Cさん「通勤費も、今のまま定期代を支給していてもいいのでしょうか?」

 テレワーク推進という課題に対して、複数の問題点と解決策が混在して話し合われています。こうなってくると、話は散漫になるばかりで議論は深まらず、結局、何も決まりません。このようなことが起こる原因は、先ほど述べたように、ファシリテーター(この場合はA課長)の質問にあります。

活発な議論が生まれない質問(1)
話すべき議論のポイントが不明確

 多くの会議が問題(課題)を解決するために行われるものですが、問題解決の過程には、以下の5つの議論ポイントがあります。

(1)現状を把握する
(2)あるべき姿を描く
(3)問題を特定する(現状とあるべき姿とのギャップを明確にする)
(4)原因を特定する
(5)解決策を検討する

 ここで大事なのは、上記の現状、問題点、原因、解決策という議論ポイントをごちゃ混ぜにせずに、順番に話し合うことです。先ほどの会議のように「テレワークの推進」に対して、「印鑑」「ネットワーク」「通勤費」といった問題点が出される一方で、途中で解決策を持ち出してくる人がいると、議論は拡散するばかりで収束することができません。

 このようにならないためには、ファシリテーターが議論ポイントを明確にした質問をして、順を追って議論することが必要です。先ほどの例を元に考えてみましょう。

A課長「テレワークを推進するために、現在困っていることをまずは教えてください」
Bさん「オンライン会議がスムーズに行えません」
Cさん「承認に印鑑が必要なため、その都度出社しなければなりません」
Dさん「コミュニケーションが希薄になり、情報共有が不足しているように感じます」
Eさん「運動不足になったような気がします」
Bさん「オン、オフの切り替えがうまくできません」

 A課長が「現在困っていること」と、現状にフォーカスして質問しているので、参加者もそのことだけに絞って答えるようになるため、問題点が浮き彫りになりやすくなります。次に、その問題が起こる原因とその特定の議論へとうつります。