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9月21日 18時0分
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日本株式市場展望(2012年9月)PART4 続・シナリオの確認 - 広木隆「ストラテジーレポート」

日本株式市場展望(2012年9月)PART1〜3の骨子を一言で述べれば「QE3でリスクオン、でも円高には限界がある → だから日本株は上がる」というものだった。PART3でも繰り返したが、円高になってしまったら、この相場観は外れることになる。

18〜19日に開催された金融政策決定会合で日銀は追加緩和に踏み切った。欧米の金融緩和に遅れを取るまいという意思表示を好感して、追加緩和が発表された直後の東京市場では株もドル円も上昇したが、その勢いは続かなかった。日銀の追加緩和だって資産買い入れ基金の規模を10兆円増額と決して小さな額ではないものの、なにしろ欧米は無期限・無制限である。それは迫力不足というものだ。

日経平均もドル円相場も日銀が追加緩和を打ち出す前の水準に逆戻りしている。では、このまま円高がどんどん進んでいくかと言えばそれはないだろうと考える。「日本株式市場展望(2012年9月)PART1」に、その根拠を3点、明確に示してあるので再度ご確認いただきたい。そこで挙げた金利差ということについて改めて述べれば、QE2のとき同様にインフレ期待によって米国金利が上昇するだろうというのがポイントである。この点については本日付の日経新聞にも「期待インフレ率17カ月ぶり水準 量的緩和第3弾受け」という記事がある。過去に何度も説明しているが、普通の国債利回りから物価連動国債の利回りを引いたものを「ブレークイーブン」と呼び、市場のインフレ期待を表す指標として使われている。このブレークイーブンが足元で急上昇している(グラフ)。2年債の利回りは低下しようがないところまで下がり張り付いて動かないから、長期債の利回りがドル円相場に影響するだろう。長期債ほどインフレ期待の高まりでじわりと上昇してくると考えられる。この米国金利の上昇がドル円のサポートとなるだろう。



もうひとつ指摘した円安の材料は、米国が量的緩和に動けばそれは日銀の背中を押す、という点だった。この点についても筆者の読み通りの展開となって、今回「サプライズ」的な追加緩和が行われた。但し、その効果は1日しかもたなかったけれど。では、この「日銀によるFRB追随緩和」というのは材料にならないのだろうか?そんなことはない。当たり前だが、日銀の金融政策決定会合はこれからもずっと開かれる。市場が、日銀のスタンスがFRBに対して劣っているというメッセージを出し続ける限り、毎回のように日銀に緩和要求のプレッシャーを与えることになるからである。QE3は期間も規模も特に決められていない。まさにQEternal(Qエターナル:永久という意味)やQE4Ever(QEフォーエバー:QE4とフォーエバーの掛け言葉)と呼ばれる所以だ。それは日銀の毎回の決定会合に対して暗黙のうちにプレッシャーをかけるに等しい。なぜならQE3は「労働市場が明確に改善するまで」毎月実施される。日銀が何もしなければ、それだけ差が開き続けることになる。相手が動く以上、こっちが何もしなければ、どんどん分が悪くなる。

日銀の本館は国の重要文化財に指定されている。設計は、建築学界の第一人者であった辰野金吾博士によるものだ。その本館の正面玄関入口には、咆える2頭の雄ライオンが6個の千両箱を踏まえて後足で立ち、日銀のシンボルマーク「めだま」を抱えた青銅製の紋章がある。その謂れについて日銀はホームページで以下のように説明している。



「日本銀行とライオンの関係ははっきりしないのですが、欧米を視察した辰野博士が、欧州の宮殿、寺院などに王者のシンボルであるライオンをあしらった紋章飾りが多く使われていることを知り、これを取り入れたものであろうと言われています。」

つまり、欧米流のものを取り入れる、欧米に倣うというのは、日本銀行の紋章にも示されている彼らのDNAなのである。きっと、これからも欧米追随となるだろう。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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