ハンコは日本の文化か?無用の長物か?Photo:PIXTA

急速な業務・行政の合理化
ハンコの未来は?

 菅政権に代わってから、社会全体の中で急速にデジタル化や業務・行政の合理化が進もうとしている。これは非常に良い傾向で、業務コストの低減というのは社会全体にとってメリットが大きい。特に経済の成長による収益の拡大(=生産性の向上)が思うにまかせない現状においては、業務コストを下げる効果は企業経営と同じように大切なことだろう。

 特にそうした効率化の中で象徴的に取り上げられているのが印鑑、押印の廃止である。現実に霞ヶ関においても従来押印を必要としていた膨大な数の書類について、徹底的に見直しがおこなわれているようである。筆者の知る役所の課長クラスの方々も先頭に立って采配をふるっており、その点数は数百種類にものぼるという。

 筆者は押印の廃止自体は大賛成である。それも昨日や今日のことではなく、もう10年も20年も前のサラリーマン時代から「管理職の検印」という作業には常に疑問を呈していたからだ。