電力大大大再編#1Photo:Francesco Scatena/gettyimages

電力業界の頂点に立つ東京電力ホールディングス(HD)の子会社で、小売り事業を担う東京電力エナジーパートナー(EP)の顧客流出が止まらない。特集『電力大大大再編』(全7回)の#1では、東電グループが電力小売り全面自由化による競争激化でじり貧に陥った東電EPに下した重大決断を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

反撃の勢いが落ちて顧客減少
東電EP上層部はある決断を下した

 東京電力ホールディングス(HD)の子会社で小売り事業を担う東京電力エナジーパートナー(EP)のある関係者は、東電EP上層部が今年の夏ごろに下した判断に首をかしげた。

 東電EPは2016年に始まった電力小売り全面自由化で厳しい競争にさらされ、実力のバロメーターである販売電力量が5年連続で前年を下回っている。

 対抗策を打ってはきた。特に最大のライバルである東京ガスに奪われた顧客を取り返すべく、17年の都市ガス小売り自由化を契機にLPガス大手の日本瓦斯(ニチガス)などとアライアンスを組み、電気とガスのセット販売を仕掛けて反撃した。

 それが奏功し、19年度末までに、東電グループで約205万件の都市ガス顧客を獲得してみせた。

 しかし、今年度に入ってからは反撃の勢いに陰りが見え始めた。顧客の流出が止まらない電力はもちろんのこと、都市ガスも東電EP単体での伸びが鈍化した上、アライアンスに参加した一部の事業者が離脱し、今年9月末で都市ガスの顧客は約192万件に減少している。

 よりアライアンスを強固にし、積極的な営業活動で攻めなければと、東電EP内には危機感が漂っていた。

 そんな中、東電EP上層部が下した決断は、反転攻勢とは真逆のものだった。