バイデン氏Photo:Carolyn Cole/gettyimages

他国の国家元首選びに、日本人がここまで手に汗を握ったことはかつてなかったのではないか。米国大統領選挙は大乱戦の結果、民主党バイデン候補が共和党のトランプ大統領を下した。だがここでニュースを追うのをやめてはいけない。日本にとっての重大事態が、バイデン次期大統領の執政下で起こるかもしれないのだから。米国政治に詳しい東京大学東洋文化研究所の佐橋亮准教授が、選挙後の展望を解説した。

トランプは大健闘し
共和党も伸びたという事実

 混乱が続いた米国大統領選挙がようやく決着した。民主党候補のジョー・バイデン前副大統領がドナルド・トランプ大統領を下し、次期大統領就任となる運びである。トランプ政権が米国ファーストを貫き、国際組織や秩序作りに否定的で、また同盟国にも交渉重視の姿勢を貫いた後だけに、バイデン政権の国際協調路線には、日本でも期待が高まっている。だが実のところ、バイデン政権の対外姿勢は、トランプ政権とは異なる難問を日本にもたらす恐れがある。

 重要な大前提として、今回の選挙結果は民主党にとっての「完全な勝利」ではなく、共和党にとっての「完全な敗北」でもなかった、という事実を忘れてはならない。すなわち今回の選挙では、トランプ大統領が事前予想よりも健闘したし、共和党への支持も国内全土に広がったことが明らかになった。郵便投票で全体の投票率が上がったこともあるが、トランプ氏の得票数は前回よりも1割以上増えている。

 大統領選挙と同時に行われた連邦議会選挙でも、政権と議会のねじれ構造(政権=民主党、上院=共和党が過半)は解消されない見通しだ。上院はジョージア州2議席の決選投票が1月に控えるが、民主党の両議席奪還は容易ではない。バイデン政権は対世論、対議会の両面において難しさを抱えた船出となる。