狭い部屋の男性新型コロナ感染症拡大の「第3波」と前後して、コロナ禍による住居喪失リスクの「第3波」が迫っている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

リスクは感染だけに留まらない
新型コロナの「第3波」

 筆者が見るところ、新型コロナ感染症拡大の「第3波」と前後して、コロナ禍による住居喪失リスクの「第3波」が迫っている。

 住居喪失リスクの「第1波」は、今年2月から3月にかけての「自粛」や学校休校により、年度末の出費に減収や失業が重なることで発生した。引き続き、4月の緊急事態宣言が「第2波」を発生させた。

「第2波」による住居喪失リスクの増大は、ネットカフェなどに仮の居住を求めていた人々、リモートワークや「3密」回避によって収入機会の激減に直面した飲食店など、「第1波」以上に広範囲に及んだ。予見も対策も可能だったという面から見れば、まぎれもない人災である。

「第1波」「第2波」で住居喪失リスクに直面した人々の中には、生活困窮者自立支援制度の「住居確保給付金」を利用することができた人々もいる。給付される月額の上限は、生活保護の家賃補助の上限額と同じ(東京都区部の単身者で5万3700円、3人以上世帯で6万9800円)であり、住居喪失リスクに対して十分とはいえない。それでも、この制度で一息つくことのできた世帯は、今年4月から9月までの6カ月間で、全国で10万4000世帯に達している。

 しかし住居確保給付金には、原則6カ月間、最長で9カ月間という期間が設けられている。3月から4月にかけて住居確保給付金を利用し始めた人々は、12月から2021年1月にかけて期限切れを迎える。筆者はこれを、住居喪失リスクの「第3波」と名付けている。

 新型コロナの感染拡大は、冬の寒さによって加速されると考えられている。年末年始には、役所の閉庁する期間がある。住居喪失リスクの「第3波」が日本を襲うのは、よりによってそのような状況の真っ只中なのだ。