事業再生の後押しがメガバンクの役割だ

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、企業から資本性資金の要請が増えている。メガバンクはどう支援に取り組むのか。みずほ銀行の藤原弘治頭取に聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

――コロナ禍の影響について、資金繰り支援の実績と手応えは。

 ピークの6月時点で、融資の要請を1万6000件、金額にすると17兆円受け付けた。足元で実行済みもしくは実行予定の金額は11兆円となり、大規模な資金供給をしている。ただ、全国銀行協会の貸出残高動向を見ると、9月末は前年同月比で6%プラスだが前月比ではマイナス0.1%となっており、資金繰り支援はひとまず一巡した印象を受けている。

 問題はこれからだ。欧州で再開された部分的ロックダウンや、大統領選挙後の米国の状況、さらには米中問題などの地政学的リスクを考えていくと、まだ予断を許さない。今年の下期、あるいは2021年度への構えが必要だ。

 企業と対話する中で、大企業は21年度の通期もしくは上期までの資金繰り対応は終わっているという実感がある。一方で中堅・中小企業は、業種や企業によっては、売り上げが減りながらも固定費などの支出は出ている。今年度末に向けて、第2弾の資金繰り支援要請が来る可能性があるとみる。

――企業の課題が手元資金の流動性から健全性に向かう中、資本性資金をどう出していくか。