高利回り総点検#4Photo:imagenavi/gettyimages

企業から株主へのプレゼントである株主優待。利回りから見ても魅力的な優待が多い一方で、優待人気企業には外食やレジャー、空運など新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した業態が多い。特集『高利回り商品 総点検』(全12回)の#4では、今後の優待株の動向と、個人投資家に人気の優待株20銘柄の買いと売りをズバリ診断した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

人気優待株は割高な銘柄が多い
業績悪化で「優待廃止」なら株価急落も

 個人投資家に人気の株主優待。2010年の実施企業は1000社程度だったが、19年は上場企業の約4割に当たる約1500社が導入している。内容は「食事券」「日用品」などの自社製品やサービス、「クオカード」「カタログギフト」などだが、利回り換算すると魅力的な水準の優待も多い。

 だが、高配当株と同様に「優待利回り」だけで銘柄を選ぶのは危険だ。業績が悪化すれば、優待が廃止されるだけではなく、株価も大きく下落するからだ。特に優待人気企業には外食やレジャー、空運など新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した業態が多いので、業績確認を怠らないようにしたい。

 株主優待に詳しい財産ネットの藤本誠之氏は、外食産業の二極化を指摘する。

「厳しいのは都心部中心に出店している居酒屋。具体的にはワタミやチムニーなどです。マクドナルドやスシローなどはコロナ禍でも業績を伸ばしています。鳥貴族や串カツ田中など特化型でファンを獲得しているところも底堅い」

 下表は主要な外食銘柄の既存店月次売上高増減率(前年同月比)の推移。小売りや外食は月次売上高を発表する企業が多い。年末にかけてコロナ第3波のリスクはあるが、少なくとも足元の売上高が回復傾向にある企業から選んだ方がいいだろう。

 優待人気企業はPER(株価収益率)など株価指標が割高に評価されているケースが多い。それだけに「優待が廃止されたときの恐怖は強烈」(藤本氏)で、株価が数分の1になってもおかしくない。

 廃止リスクを軽減するには、優待内容にも注目したい。優待銘柄を中心に700銘柄を保有する有名個人投資家のかんち氏(ハンドルネーム)は「クオカードや株主優待倶楽部など、自社製品と関係ない優待は廃止や改悪リスクが高い」と指摘する。企業のコスト負担が大きく、宣伝効果もないため廃止されやすいからだ。

 次ページから個人投資家に人気の株主優待株ベスト20(大和インベスター・リレーションズ調査)の業績を専門家が分析。優待利回りや株価指標も掲載しているので、投資の参考にしてほしい。