J-REITの対象別・投資戦略、苦戦中の「オフィス型」に今注目すべき理由Photo:12kagetu/Aflo/gettyimages

少額から不動産に分散投資ができ、分配金も安定しているのがJ-REITの魅力。足元はネット通販の拡大期待で物流型が堅調な一方、オフィス型が苦戦している。果たして今後はどうなるのか。特集『高利回り商品 総点検』(全12回)の#9では、J-REIT投資の基本と、オフィス、住宅、物流など投資対象別の展望をお届けする。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

分配金利回りが高く出遅れ感が強いJ-REITは
「投資対象」「分配金利回り」「NAV倍率」で選べ

「REIT」とはReal Estate Investment Trust(不動産投資信託)の略称で、多くの投資家から資金を集めてプロが不動産を運用する仕組みの金融商品。株と同じようにリアルタイムで売買が可能で、現在62銘柄が上場している。

 日経平均やTOPIX(東証株価指数)に相当するのが東証REIT指数。日経平均が29年ぶりの高値水準まで上昇する一方で、東証REIT指数は新型コロナウイルス感染拡大前の水準を20%以上も下回っている。

 一方、足元の東証REIT指数の分配金利回りは4.2%程度で、2014年以降では高い水準にある(下図参照)。長期金利との差から見ても魅力的な水準で、買いチャンスといえる(東証REIT指数の分析は本特集#7『REIT「No.1アナリスト」直撃、日本ビルファンドの価格急落は市況崩壊の兆し!?』参照)。

 家賃収入の変動は株価や不動産価格と比較するとマイルドなため、REITの分配金は安定性が高い。値上がり益を狙う取引もあるが、実物の不動産投資と同様に中長期保有で分配金を受け取るのが基本戦略だ。

 実際にREITの個別銘柄を選ぶとき、何を基準にすればいいのか。REIT分析の専門家であるアイビー総研の関大介氏は三つの順でチェックすべきだとアドバイスする。「投資対象」「分配金利回り」「NAV(Net Asset Value)倍率」だ。