「相続トラブル」を避けるノウハウ

 ここは逆転の発想です。「どこからが認知症か」の基準は曖昧ですが、「少なくとも今現在、認知症ではない」ことを明確にするのは簡単です。

 心療内科等を受診し、「意思能力に問題なし」という診断書を取得すればいいのです。

 遺言書を作成したり、生前贈与をしたりする際に、その行った日の1ヵ月以内に診断を受けておけば、争いになる可能性を大幅に下げることができます。

 また、今すぐできる認知症診断テストがあります。「長谷川式スケール」と呼ばれるもので、認知症専門医の長谷川和夫氏らによって公表された認知症の診断指標です。

 30点満点中20点以下だと認知症と診断される可能性が上がります。このテストは比較的若い人でも意外に満点をとるのが難しいです。

「自分はまだ大丈夫」と思われている方でも、どのくらいのレベルから認知症と診断されるのかを知っておくために、テストの受診をオススメします。

 ちなみに厚生労働省のデータによれば、65歳以上の28%は既に認知症であるか、認知症の疑いがあるそうです。

 世の中の多くの方がピンピンコロリを前提とした相続対策を考えがちですが、実際には認知症になってしまう前に、相続対策のほとんどを完結させておく必要があるのです。