インドネシアで進まぬコロナ抑制、内需低迷で国是の「寛容さ」にも変化ジャカルタのセントラルビジネス地区で Photo:NurPhoto/gettyimages

インドネシアでは依然として新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。輸出は立ち直りの気配が見えるものの、消費など内需は冷え込んでいる。金融・財政政策を総動員し、外国からの投資を促進する法案を成立させるなど景気対策を講じている。一方、政治不信が高まっており、国是である「寛容さ」にも圧力が強まりつつある。(第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)

巨額の財政出動 事実上の財政ファイナンス
中央銀行の利下げ 景気対策に政策総動員

 年明け以降、インドネシアでは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済減速の影響に加え、同国内でも感染が拡大し、首都ジャカルタなどで感染抑制を目的とする都市封鎖が実施された結果、実体経済に深刻な悪影響が出ている。

 同国内における新型コロナウイルスの感染動向は収束に程遠い状況が続いているものの、徐々に大規模な行動制限が解除されて経済活動の再開に向けた取り組みが進められている。

 政府は巨額の財政出動を図っているほか、中央銀行も利下げを実施し、財政支援を目的に国債を無利子で引き受ける事実上の「財政ファイナンス」に動くなど、平時であれば「禁じ手」と受け取られ得る対応を進めている。このように財政および金融政策を総動員して景気下支えを図る動きを見せている。