夜の銀座コロナ再拡大による「自粛ムード」の高まりで、日本の景気はどうなるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

感染拡大を受け行動制限が再強化
懸念される日本景気の失速

 日本では、新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、行動制限が徐々に強められている。Go Toトラベル事業は、大阪、札幌が既存予約も含めて除外され、北海道、茨城などでは一部地域で外出自粛要請が出された。東京では、Go To イート食事券の販売停止、飲食店の営業時間短縮、不要不急の外出自粛などが矢継ぎ早に打ち出されている。

 こうした行動制限の再強化によって懸念されるのが、景気の失速だ。10月の景気ウォッチャー調査では、改善の方向感を示す現況DIが2014年以来となる54.5まで上昇した。けん引役となっているのが飲食業と旅行業で、現況DIがともに過去最高となったほか、水準でも通常の閑散期のレベルまで大幅に回復している。

 景気ウォッチャーによるコメントをみると「Go To キャンペーン」という文言が80回も登場し、7月から開始されたトラベル・イート事業の本格化が回復の起爆剤になったことがうかがえる。7~9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+21.4%と現系列で過去最高の成長となったが、サービス消費は前期比年率+29%と急激な回復を遂げ、GDP全体を押し上げた。

 Go To キャンペーン開始時には、新型コロナウイルスの感染終息を待つべきといった批判的な世論が多数派だった。しかし4月の景気ウォッチャー調査では、飲食業の現況DIにおいて急激な悪化に季節調整が追い付かず、定義上あり得ないマイナスを記録するという異常事態に陥り、旅行業者取扱額は5月に前年比-98%と、需要がほぼ消滅した。当時の状況を考えると、飲食・旅行業の連鎖的な倒産を防ぐ時間的な猶予は現実的にはなかった。飲食・旅行業は、引き続き厳しい経営状況が続いているものの、落ち込みを和らげたという点で、Go To キャンペーンが大きな助けとなったのは明らかだ。

 しかし、忘年会・新年会や正月休みの旅行といったかき入れ時を前に、Go Toキャンペーンの縮小や行動制限の再強化によって売り上げ回復の流れが途切れるようであれば、飲食・旅行業は年末年始にかけて再び苦境に立たされ、日本全体の景気も失速を免れないだろう。