新型コロナの影響でアパレル業界の倒産が相次いでいる。特に関西エリアは深刻で、今年11月末までの新型コロナ関連倒産件数は飲食店を上回り、業界別でトップとなっている。なぜこれほど厳しい状況に陥っているのか。今年倒産した2社の事例を元に、帝国データバンクが解説する。(帝国データバンク情報部 白浜雄介)

新型コロナで露呈した
アパレル企業の経営体質

11月17日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請したリデアが展開していたストラスブルゴ11月17日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請したリデアが展開していたストラスブルゴ(撮影:帝国データバンク)

 Go Toキャンペーンや時短要請で苦しむ外食業界やホテル・観光業界に隠れているが、アパレル業界もコロナ禍の影響を大きく受けている業界のひとつだ。

 インバウンド需要の蒸発、緊急事態宣言下での百貨店や商業施設の一斉休業による売り場の喪失、在宅勤務定着による需要減退などの影響は大きく、窮地に立たされる企業は多い。さらに第3波が到来したことで、年末商戦やボーナス商戦においても苦戦を強いられることは必至だ。

 特に関西ではその流れが顕著で、11月末時点でアパレル関連企業の新型コロナ関連倒産件数は飲食店を上回り、業界別ではトップとなっている。

 しかし、アパレル苦境は一概にコロナの影響だけとはいえない。その背景にあるのが昨年の消費税増税と、記録的な暖冬による需要の減退だ。さらにこの10年で、Eコマースが普及したことにより消費者の購買チャネルは変化し、業界内でも勝ち組と負け組にはっきりと分かれている。皮肉にもその結果が新型コロナの感染拡大によって露呈することとなった。